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労務管理

未払い残業代精算時の取扱い

残業代未払い、違法な長時間労働、過重労働(過労死)などが温床になっているブラック企業に対する世間の関心の高まりから、厚生労働省では長時間労働が疑われる事業場に対して、労働基準監督署による監督指導を強化しています。過去数年間に亘り、残業代を支払っていなかった企業がこの監督指導により、従業員に対し未払いとなっていた残業代を一括で支払うケースが増えています。従業員規模が多い企業では、その精算金額が数億円にのぼるとも言われています。

企業が過年分の残業代を支払う場合の支払い方法は:

(1) 損害賠償金として一時金で支払うケース(以下「一時金ケース」)

(2) 過去の給与の後払いとして支払うケース(以下「後払いケース」)

があります。このように過去の残業代の精算を行った場合、実務上どのような取扱いになるのかを『税金と社会保険料』、またケースごとに解説します。

1.法人税
過去の残業代を一括支給した場合には、上記(1)、(2)いずれのケースも法人税法上は過去に遡って修正はせず、支払いをした期の損金として取扱います。
企業会計では過去の事業年度に係る損益については遡及して修正はせず、当期の損益として認識する事とされており、法人税は原則として会計処理の基準に従うとされているためです。

2.所得税・住民税
所得税・住民税については、(1)の一時金ケースと(2)の後払いケースで取扱いが異なります。
(1) 一時金ケース
過去の残業代を一時金として支払った場合には、賞与と同様に取り扱われます。過去の労働に対する対価になりますが、当期に支払うことが確定した給与等に該当します。
支払いを受けた従業員にとっては臨時の賞与と同様となるため、過去に遡って年末調整等はする必要はありませんが、支払いを受けた年の所得税、その翌年の住民税の負担が増える点に注意が必要となります。
(2) 後払いケース
過去の実労働時間に基づく未払い残業代を過年分の給与等として支払った場合には、本来の各支給日に支払うべき残業代を一括して支払ったものと認められますので、本来支給日の属する年の給与所得となります。
未払い残業代を支払った企業は、残業代を支払った各従業員の過年分の所得税の年末調整をやり直した上で、納付不足となっていた所得税分を、未払い残業代を支払った月の翌月10日までに納めなければなりません。
加えて、住民税の算定基礎となる給与支払報告書を各自治体に再提出を行います。各自治体から変更通知書が企業に送付され、給与天引で納めることになります(特別徴収)。
また、従業員が住宅ローン控除や医療費控除等の適用を受けるために確定申告をしていた場合には、修正申告を提出する必要があるため、従業員に対し修正申告が必要という通知や指導等が必要となります。

3.社会保険料
社会保険料についても、(1)一時金のケースと(2)の後払いケースで取扱いが異なります。
(1) 一時金ケース
過去の残業代を一時金として支払った場合には、所得税等と同様に賞与として取扱います。
支払いをした時の賞与と認識するため、過年分の保険料の修正は必要ありませんが、支払いを受けた年の社会保険料の負担は増える事になります(賞与支払届の提出)。
(2) 後払いケース
所得税等と同様に、本来の各支給日に支払うべき残業代を一括して支払ったものと認められますので、本来支給日の属する年の給与等となります。
そのため、遡って支給した残業代が4月~6月分である場合には、社会保険の算定基礎届の訂正届を年金事務所に提出する必要がありますので注意が必要です。

※ このコラムは、令和2年5月20日現在の法令に基づき投稿しています。

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